今日は再び、2014年に渋谷オーディトリウムで拝見しました、ダニエル・シュミットの映画のお話であります。
こちらの作品は、以前も何度か見る事ができ、DVDを購入しているのですが、今は絶版になりDVDは大変値段が高騰しております!
なんとamazonの中古コーナーの最安値が19790円!
すごい高騰ぶり!!
たしか当時、4000円位で購入した記憶が・・・
DVDの値段を確認したら、4700円でした!
要するに今は大変手に入りにくいということなんですね、、、
こんなに値段が高騰するほど見たい人は見たい映画なんですね、、、
ダニエル・シュミットの作品は、他の作品も全て、是が非でも再販してほしいです。
で、問題の映画の内容です
これ、はっきり言いますと、怪奇映画であります。
マダム・リリーのクラブでは毎晩ショーが開かれており、このクラブの歌姫であるラ パロマ(イングリットカーフェン)がシャンハイを歌っています。
お客の一人であったイジドールは、「想像の力」という催眠術的スペクタルの幻惑に魅せられていく・・・
(ここの部分は、なんとも不思議な出で立ちの男性とも女性ともつかない太った人物が現れ、じりじりとイジドールに近づいて来て、彼の瞳を覗き込むんです・・)
そこからが、想像の力の始まりです。
イジドールが、ヴィオラ(ラ パロマ)に入れ込んでしまい求婚し、彼女を自分の城に迎え入れるというお話しなのですが、イジドールの友人ラウルが城に訪れ、館に滞在している間に、彼とヴィオラは恋仲になってしまう。
ヴィオラはラウルに「一緒に連れていって」と囁くのだが、ラウルは「あなたと過ごせたらどんなに良いだろう。あなたはお金のかかる女性だ。私にはあなたを喜ばせ続けることはできない。あなたは必ず嫌になる」と話します。
ヴィオラは「イジドールがお金を出してくれるから大丈夫。話をしてくるから待っていて」、と言い、イジドールの部屋へ話しに行ってしまう。
(普通はありえん、、)
ラウルは「そんなばかな・・・」と言う言葉の後ろには、ラウルは彼女を愛してはおらず、めんどうなことに巻き込まれないうちに、彼女に気付かれない様に、夜が明けぬうちに館を出てしまう。
それから1年後、イジドールからヴィオラが亡くなったと手紙が届いた。
そして更にその3年後、ヴィオラの遺言状を開けるので、館に来て欲しいとのイジドールからの手紙。
ラウルはイジドールの館を訪れる。
そこで見たものは・・・
ここからは、イジドールの回想シーンが続くのですが、この後出てくる墓地の気温や空気も伝わって来るような、怖い物語になっています。
でもって、なんともコミカルな音楽との対照的なワンシーンもあり、
ホラーと完璧な美で構築されている、ダニエルシュミットの濃密な世界が味わえる映画です。
シーンのひとつで、イジドールとヴィオラが教会で結婚式を挙げる場面があるのですが、この時の二人の背景には大輪の山吹色のダリア、そしてヴィオラが手にしている黄色いバラのブーケと、彼女の着ている白い繊細なレースのワンピース、バックで鳴り響くパイプオルガンの大音響!!
もう美しすぎて感動で震えが止まらない・・・
あと、イジドールの母親役にビュル・オジェが出演しているのですが、あの詩的な雰囲気・・・
ヴィオラの前で、ソファに座りゆっくり手袋を脱ぐシーンは気絶ものです・・
美しすぎます、、
一番最後は、またもやマダム・リリーのクラブの中・・・
イジドールは、はっと夢の世界から目覚めます。
いやホントに忘れられないというか、何回も見たい、見てその世界にいつまでも浸っていたいと毎回想ってしまうのであります。
ラ・パロマ
<1974年スイス・フランス合作>
La Paroma
製作:イヴ・ペイロ
監督:ダニエル・シュミット
脚本:ダニエル・シュミット
原作:ハンス・ハインツ・エーヴェルス
撮影:レナード・ベルタ
出演:イングリット・カーフェン、ペーター・カーン、ビュル・オジェ
ペーター・シャテル、ジェローム=オリビエ・ニコラ、
ベアトリス・ストール、リュドミラ・チュチェク